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コラム

2024年5月24日

不正競争防止法等の一部を改正する法律について1
~ブランド・デザイン等の保護強化~

「不正競争防止法等の一部を改正する法律」の主な改正項目は3つ

①デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化

②コロナ渦・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備

国際的な事業展開に関する制度整備



今回は①について、詳しい内容を<法改正前(従来)>と<法改正後>で比べてみてみましょう。



①デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化


1.登録可能な商標の拡充


・コンセント制度(類似商標の併存登録)導入に伴う、不競法の適用除外規定の新設

従 来

先行する他人の登録商標と類似する商標は登録できない

改正後

先行商標権者の同意があり出所混同のおそれがない場合は登録可能

*併せて、上記により登録された商標について、不正の目的でなくその商標を使用する行為等を不正競争として扱わない。

・他人の氏名を含む商標に係る登録拒絶要件の見直し

従 来

同姓同名の他人全員の承諾が得られなければ商標登録できない

改正後

一定の要件を課した上で、他人の承諾なく登録可能とする



2.意匠登録手続の要件緩和

従 来

SNS等で事前公開した場合、出願から30日以内に自ら公開したことを証明する証明書を、自己が公開した全ての意匠について網羅的に提出する必要がある

改正後

最先日に公開した意匠の証明書を提出すれば出願可能



3.デジタル空間における形態模倣行為の防止

従 来

リアル空間上での商品形態の模倣を規制

改正後

従来に加え、デジタル空間上の商品形態の模倣も規制(差止請求権等を行使可能とする)



4.営業秘密・限定提供データの保護の強化


・限定提供データ(ビッグデータ)の定義の明確化

従 来

「秘密管理されていないビックデータ」のみ保護対象

改正後

従来に加え、「秘密管理されたビックデータ」も保護対象として拡充


・損害賠償額算定規定の拡充

従 来

1:損害額を原則「侵害品の販売数量×被侵害者の1個当たりの利益」と推定して算定。被侵害者の精算・販売能力超過分の損害額は否定

2:対象は「物を譲渡」する場合に限定

改正後

1:超過分は侵害者に使用許諾(ライセンス)したとみなし、使用許諾料相当額として損害賠償額を増額できる規定を追加

2:対象を「データや役務を提供」する場合にも拡充


・使用等の推定規定の拡充

従 来

「営業秘密(生産方法等)」の不正取得の推定規定適用対象が、産業スパイ等の悪質性の高い者に限定

改正後

元々アクセス権限のある者(元従業員等)や、不正な経緯を知らずに転得したがその経緯を事後的に知った者にも、同様に悪質性が高いと認められる場合に限り拡充


・裁定における営業秘密を含む書類の閲覧制限

※裁定制度…権利者の同意なく、第三者にその特許発明等の通常実施権を設定し得る制度。

従 来

裁定関係書類は閲覧制限の対象外(何人も裁定関係書類の閲覧が可能)

改正後

営業秘密を含む書類の閲覧制限を可能とする

〔参照〕 経済産業省:不正競争防止法等の一部を改正する法律【知財一括法】の概要

https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/r5kaisei06.pdf



次回は②と③についてみていきましょう。






 

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