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コラム

2024年4月1日

令和5年4月施行 民法・不動産登記法3
~管理不全土地管理制度について~

Q 管理不全土地(建物)管理制度とは何ですか?

 所有者の判明・不明を問わず、管理が適切に行われないために荒廃・老朽化等している土地(建物)について、利害関係者が裁判所に請求すれば、選任された管理人により当該土地(建物)の管理をしてもらえる制度です。

 



Q 従来とは何が変わりましたか?

 従来は、管理不全土地等については、物権的請求権による是正措置を求めたり、不法行為に基づく損害賠償請求権等の訴えを提起したりすることで対応していましたが、継続的な管理ができない、実際の状態をふまえて適切な管理措置を講ずることが難しいなどの問題がありました。本制度では所有者に代わって管理人が選任されるため、管理人を通じて適切な管理をすることが可能になりました。

 



Q 事業者は何ができるようになりましたか?

 管理人を通じて、土地の保存・利用・改良行為を行うことができますが、裁判所の許可を得れば、これを超える行為をすることも可能になります。例えば、ひび割れ・破損が生じている擁壁の補修工事やゴミの撤去、害虫の駆除等も行うことができるようになります。

 



Q どのような条件を満たせば利用できますか?

 管理人が選任されるには下記の4つが必要になります。

 

① 「管理が不適当であること」

② 他人の権利が侵害又はそのおそれがあること

③ 管理人選任の必要性があること

④ 「利害関係人」による申立て

 

①は、管理が全くされていない場合のみならず、管理が適切に行われていない場合も含みますが、所有者の使用形態や所有者の意思によって判断が変わってきます。

 

②は、具体的には、崖崩れや土砂の流出、竹木の倒壊などが生じ、またはそのおそれがある場合が考えられます。なお、侵害状態には①の管理が不適当であることとの因果関係が必要になります。

 

③は、②の侵害の程度が低いために本制度を利用する必要性が乏しいと判断された場合には認められない可能性が考えられます。

 

④については、前述の所有者不明土地の場合とは異なり、隣地の所有者など権利侵害をされ、又はそのおそれがある者に限られるとされています。すなわち、当該土地を取得してより適切な管理をしようとする公共事業の実施者や民間の買受希望者については、所有者と買取交渉をすれば足りるため、「利害関係人」にはあたらないとされています。






 

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