top of page

2026年10月8日

賃貸住宅に住む単身高齢者の死後の賃貸借契約の解除と残置物問題
~残置物の処理等に関するモデル契約条項~

高齢者の単身世帯が増加している中、民間の賃貸住宅等においては、相続人の有無や所在が明らかでない単身者が死亡した際の賃貸借契約の解除や居室内に残された動産(残置物)の処理への不安感から、高齢者の入居の申込みを賃貸人が拒否することがあります。


このような不安感を払拭し、単身の高齢者の居住の安定確保を図る観点から、単身の高齢者が死亡した際に契約関係及び残置物を円滑に処理できるよう、国土交通省及び法務省において、賃借人と受任者との間で締結する賃貸借契約の解除及び残置物の処理を内容とした死後事務委任契約等に係る「残置物の処理等に関するモデル契約条項」が策定されました。


【モデル契約条項とは】

基本的な考え方は、賃借人が死亡した場合に、代わりに賃貸借契約を解除し、さらに部屋に残された家財(残置物)を処分してもらう契約を第三者(受任者)と入居者が交わすというものです。

モデル契約条項には賃借人死亡時に賃貸借契約を終了させるための代理権を受任者に授与する委任契約である「解除関係事務委任契約」と、賃貸借契約の終了後に残置物を処理することを委託する準委任契約である「残置物関係事務委託契約」の2つがあります。

どちらも同じ第三者に委任しても良く、また別々に設定することもできます。

前者を特に解除事務受任者、後者を残置物処理事務受任者といいます。


【第三者(受任者)とは】

受任者になれるのは入居者の推定相続人の他、居住支援法人や管理業者です。

居住支援法人とは、住宅セーフティーネット法に基づき、居住支援を行う法人として、都道府県知事が指定したものです。NPO法人、一般社団法人、社会福祉法人、居住支援を目的とする会社等が指定され、国土交通省のホームページにその一覧が掲載されています。


【契約後の流れ】

受任者は、賃借人に、賃借人の死亡後廃棄せず賃借人の相続人等に残したい家財等を、「指定残置物」として指定させます。また、受任者と賃借人の間で残置物処理等に関する費用の相談をします。


【賃借人の死亡後の流れ】

賃貸人は、賃借人の死亡の事実を、解除事務受任者に通知し、受任者の代理権を基に賃貸借契約を解除します。

次に、賃貸人は、残置物処理事務受任者に賃貸借契約が終了した事実を通知します。

残置物処理事務受任者が物件内に立ち入り、残置物の処理作業を行います。


【費用について】

残置物処理事務受任者は残置物処理作業の費用を相続人に対し請求できますが、残置物を換価した場合や物件内に金銭があった場合は、生前の賃借人との取り決めにより、その金銭の合計額から費用を控除することも可能です。

また、この費用は、本来は賃借人(とその相続人)が負担すべきものですが、あらかじめ賃貸借契約に規定を設けておくことで、賃貸人が残置物処理事務受任者に対し第三者弁済した上で、賃貸人が賃借人の相続人に対して有する求償権の額を賃貸借契約上の敷金から差し引く方法もあります。


【最後に】

モデル契約条項は、その使用が法令で義務づけられているものではありませんが、モデル契約条項を利用することにより、合理的な死後事務委任契約等を締結し、単身の高齢者の居住の安定確保が図られることが期待されています。



(参照)残置物の処理等に関するモデル契約条項の活用ガイドブック001746714.pdf




弁護士法人谷井綜合法律事務所では、クライアントの立場に立った法律相談を行っております。

ご相談はこちらから > お問合せ | 谷井綜合法律事務所

bottom of page