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コラム
2024年3月27日
景品表示法 景品規制について ~景品総額の限度額、一般懸賞、共同懸賞~
【事例】
自社(X社)が製造・版権管理する製品(販売価格6,000円程度)を、販売部門である関連会社Y社の全国の店舗で購入した顧客に対し、購入レシートをもとに抽選で100名にスペシャルシートでのスポーツ観戦ができるチケットをプレゼントしようと企画しています。売上見込みは180百万円、景品のチケットの仕入れ単価は約7万円となります。
Q1.法律上、この企画に問題はありますか?
A1.景品単価もしくは仕入れ枚数を減らし、景品総額を下げる必要があります。
この事例の場合、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)と消費者庁の告示等が該当します。
上記の法令及び告示によると、この企画は「一般懸賞」にあたります。
消費者庁の「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」告示 には
2 懸賞により提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の二十倍の金額(当該金額が十万円を超える場合にあっては、十万円)を超えてはならない。
3 懸賞により提供する景品類の総額は、当該懸賞に係る取引の予定総額の百分の二を超えてはならない。
と規定されており、仮に1回の購入取引の金額が5,000円を超えるとすると用意できる景品の単価は10万円以下であり、さらに景品の総額は売上の2%以下である必要があると解釈できます。
本件では、チケットの単価は7万円なので規定内におさまっていますが、用意できる景品の総額は売上見込み180百万円の2%なので360万円が限度額であり、100名分(700万円)ではオーバーしてしまいます。
Q2.「一般懸賞」の他に「共同懸賞」というものがあり、こちらだと景品の単価の限度額を30万以下、景品の総額の限度額を売上の3%にすることができるようですが、「X社とY社の共同懸賞」ということにして景品総額の限度額を540万円にすることはできませんか?
A2.「共同」の定義を満たしていないため、できません。
「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」告示 では、「一定の地域における小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合」「一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合」とあります。さらに運用基準では「一定の地域」を「市町村」、「相当多数」を「過半数」と定義しています。
つまり、「規定エリア内の同業他社含む事業者の過半数」でなければならず、X社とY社だけでは「共同」にあたりません。
Q3.景品を安く仕入れることができれば、仕入れ単価を下げたことになりますか?
A3.なりません。
「景品類の価額の算定基準」で以下のように定められています。
(1) 景品類と同じものが市販されている場合は、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入するときの価格による。
(2)景品類と同じものが市販されていない場合は、景品類を提供する者がそれを入手した価格、類似品の市価等を勘案して、景品類の提供を受ける者が、それを通常購入することとしたときの価格を算定し、その価格による。
つまり、「一般的に通常購入する時の価格」が基準となるため、一般の市場価格が7万円であれば、仕入れ単価は7万円となります。
Q4.もし最終的に売上金額が見込みを下回ってしまったら、景品総額の限度額も下がってしまいます。この場合、結果的に違反になりますか?
A4.なりません。
前年の同時期の販売実績や同種の懸賞企画を行った際の販売実績などを参考にして、合理的に算定しているのであれば、結果的に実際の売上総額が売上予定総額を下回り、景品類の総額が売上総額の2%を超えたとしても、直ちに問題とはなりません。
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