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コラム
2023年7月3日
取締役会決議で可能な株式発行の上限について
取締役会決議で可能な株式発行の上限|会社法・金商法上、ストックオプション/広義の新株予約権の取締役会決議における発行上限等のご質問について回答致します。
<目次>
取締役会決議で可能な株式発行の上限
まず、前提として、新株予約権を発行する際には、「募集新株予約権の内容及び数」を定めなければなりません(会社法238条1項1号)。そして、「募集新株予約権の内容」として、「当該新株予約権の目的である株式の数」(会社法236条1項1号)、すなわち、新株予約権1個当たり何株の株式を発行するのかを定めなければなりません。これが「新株予約権者が取得することとなる株式の数」(会社法113条4項)に当たります。
会社法113条4項によって、新株予約権の発行上限は基本的に次のようになっています。
「新株予約権者が取得することとなる株式の数」=発行可能株式総数-発行済株式総数+自己株式総数(会社法113条4項参照)
自己株式を除くのは、会社は、新株予約権の行使に対し、新株の発行の代わりに自己株式の処分によって応じることもできるためです。
非公開会社が募集事項(会社法238条1項各号)を取締役又は取締役会に委任する場合にも、新株予約権の数の上限は株主総会の特別決議で定めなければなりませんので、上記の発行上限が及びます(会社法239条1項1号、309条2項6号)。
「取締役会決議における発行上限」ではありませんが、募集新株予約権が報酬となる場合(いわゆるインセンティブ報酬)には、定款もしくは株主総会において、取締役全員に割り当てられる募集新株予約権の数の上限を定めなければならない(法361条1項4号、5号ロ)ため、当該新株予約権の数がそのまま発行上限となります。また、インセンティブ報酬は確定額報酬(361条1項1号)または不確定額報酬(同項2号)としての規律も受けるため、上記募集新株予約権の数の上限は、同項1号もしくは同項2号の額の範囲内でなければなりません。そのため、報酬等の額も発行上限と捉えることができます。
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